Prologue

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 だが、当然だがそこは、誰かが所有権を有する土地だ。  今まで特にお咎めのなかったため、子供の遊び場として有効活用されていたが、所有者がどう使うかなど、俺たちがどうこう言えるものではない。当たり前だ。  広大な土地であるため、今まで買い手が見つからなかった、と俺は勝手に推測したのだが、いやはや、なんとも突然だった。  気が付けばすでに立入禁止となっていて、気が付けば周りは白いビニールで覆われ、中を確認することはできなくなっていた。  たまにどでかいトラックが通ったりするだけで、中の状況を窺い知ることは全く不明。  小さい頃の思い出を思い出したり、勝手に埋めたタイムカプセルの今後の成れの果てを想像して残念に感じてはいるが、まぁ、しょうがない。  子供が戯れる光景を眺めることができなくなるのは……残念の部類に入れても問題はないだろう。俺、真人間だし。子供好きなだけの真人間だし。  そして、今朝。  いつものように地球に燦燦と光で照らすという尊い使命を変わることなく遂行している太陽に、この薄暗い部屋にも日光を分けてもらおうと、若干汚れてきたカーテンを開くと、窓の外には昨日とは違う光景が広がっていた。
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