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手紙から目を離すと、妹・・・秋菜の方がぐずったのか、春菜が一生懸命あやしていた。
春菜の方は、記憶の中にしかない父親に目元が似ていた。
「あのクソオヤジ・・・」
そう言いながら、慣れないながらも秋菜を抱き上げる。
キョトンとする二人。
「まあ、とりあえず入れ。」
春菜を部屋の中へ促すと、春菜はおずおずと入ってきた。
とりあえず真意を確認するため、父親方のばあちゃんに電話をかけた。。
父親はいなくとも、時々電話をしたりして連絡をとっていたが、"妹がいる"なんて話は一度も語られたことがない。
「もしもし、大河だけど??」
『大河かい、久しぶりだねぇ。』
「オヤジが残した二人の子どもが尋ねてきて、オヤジが手紙で俺に面倒を見てくれとさ・・・」
『そうなのよ、あの子、ついに逝っちまった。親不孝な子だよ、ホントに。』
「父さん死んだなら死んだで連絡くらいくれよ。線香の一つもあげらんねぇじゃんか。」
大河に不思議と悲しみは沸かなかった。
「ところで、ばあちゃん、なんか知ってることねぇか??」『あ、うん、病気で先が短いのも、あの子が二人の娘をあんたに預けようと思ってたのも聞かされてたよ。その上で、“なんか困った時は助けてやってほしい"と念を押されてね・・・』
ちょっと拍子抜けしつつもそう説明する。
「ああ、わかった。とりあえずやってみるよ。困ったら電話するから」
こうして、兄弟3人の生活が始まった。
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