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とはいえ・・・
はて、どうしたものか。
子どもと関わりを持った事がない大河、とりあえず自己紹介から始めてみた。
「っと、二人ともいいか??」
子どもたちはキョトンとしているが、とりあえず話を続ける。
「俺は大河、一応二人の兄貴・・・にあたるのかな?」
そこまで話すと、秋菜がせきを切ったように話しだした。
「あのね、あのね、お父さんが死んじゃう前にね、『お前らにはお兄ちゃんがいるんだよ』って教えてくれたんだよ。でね、でね、うちが会いたいって言ったら、『いつか会えるよ。』って言われてたんだ~♪」
子どもの表現は時として残酷な事実をストレートに伝えてしまう事に目をつぶれば、そこまで話した秋菜は満足げだ。
「秋ちゃんが全部言っちゃった・・・」さっきまで緊張していたのか強張った表情が幾分緩んだ感じの春菜がポロッと言った。
と、秋菜が飛びかかってきた。
「お兄ちゃん、会いたかった!!」
そう言って抱きついたまま離れようとしない。
春菜は見知らぬ土地で、もし大河に拒絶されたらと思い心細かったのだろう、目に涙を浮かべていた。
「春菜も、おいで?」
その一言でせきを切って涙が溢れ出した春菜も、おずおずと腕の中におさまった。。
しゃくりあげて言葉にならない春菜と、傍らの姉と大河を「なんで?」という顔で交互に見ている秋菜。
その姉妹のギャップに笑えてきた大河。
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