私達の事

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私は翻訳の勉強と就活に余念がなかった 赤い髪が災いして不合格続き… そんな時アツシさんがある会社を紹介してくれた 外国の絵本専門に扱ってる会社だった アツシさんは出版社に勤めてて、本関係の会社に詳しかった 『大きな会社じゃないけど勉強になると思うよ。前から人探してるんだけど見つからなくて。とにかく行ってみなよ』 私は思い切って会社を訪ねた 小さなビルだけど中はとても綺麗で、沢山の絵本が置かれていた 社長さんは60歳くらいの人で、怖そうな顔をしていた 私の履歴書を見ながらちらちら私を覗く やっぱり髪のせいかな… 社長は椅子から立ち上がると一冊の絵本を私に見せた 『これはドイツの絵本なんだ。赤い人魚の散歩ってタイトル』 絵本を開くと、私と同じ色をした髪の人魚が、海の街を散歩しながら、いろんな人に会うという物語… 『君にそっくりだね(笑)うちみたいな会社でよかったら大学卒業してきてくれる?慣れてきたらフランスの絵本担当してもらうから(笑)』 『ホントですか?ありがとうございます!』 私はアツシさんにすぐ報告した 『怖そうな社長だけど、面倒見いいし、結構やり手(笑)頑張れよ』 肩の荷がおりた思いだった
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