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突然、少年はどこからか声が聞こえてくるのに気付いた。
『なんとも情けない心を持っていることか。』
『僕のことを知ってるの??』
少年は自分のことを知ってる者と思い、少し安堵してそう答えた。
『あぁ…知っているとも。ただ、俺は生きている者ではないがな…。』
『それにしてもお前は本当に逃げるだけでいいのか。父親や日向家のように強く、気高い男になりたくないのか?』
謎の声はそう尋ねた。
『無理だよ。僕は父上のようにはなれない…それに強くなんかなれなくてもいいんだ!』
『なんと…。本当にそれでいいのか?お前は大切な人を自分の無力さのせいで失ってもよいのか?』
そう言われた時、少年は二年前侵入者によって殺された母のことが思い浮かんできた。
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