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生まれついで、オレには特殊能力が備わって居た。
それが異能と呼ばれる証しであり、過去の...前世の因果でもある力。
テレパシスト。
聞きたくもないのに、周りの声が頭の中に響き渡る。
コントロール出来るようになるまでは、毎日うざくて仕方なかった。
初めのうちは、巫女として天から授けられた能力なんてぬかしながら、崇めたて奉ってたくせに、次第に異能と囃立てる輩が増えた。
『それなりに少女』だったオレには、さすがに耐え難い屈辱だったものだ。
当然、自然に心を閉ざし、寡黙になるのも無理はない。
阿鼻雑言、嘘偽り、人の『裏』の部分が常に自分には見えるんだからな。
何もかもが信じられない。
だから信じない。
この『力』を自ら封じるだけの力を身に付ける頃には、自分以外を信じる事はしなくなった。
信じるのは己のみ。
おかげで、独りで生き抜く術を色々身に着ける事が出来た。
今も『過去』も、オレはオレのまま...替わらないらしい。
なんて、デジャヴを何度も感じながら、オレは巫女としての自分を捨てた。
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