茜の空に翔ぶ雀

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宙が黄金色から茜色に徐々に移り変わり、夜の帳が下り始めた時刻(とき)、部屋の外から騒々しい声が聞こえてきた。 買出しに出て居た連中が、帰ってきたようだ。 楽しげに笑いあい、ふざけ合う会話が、オレの居る部屋の方に近付いてくる。 溜息と一緒に、吸い込んだ煙を一気に吐き出した。 窓の外にまた目をやると、雲と紅の宙に、雀が一羽跳び立っていた。 遠い遠いデジャヴが、また頭を掠める。
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