壱目のお祓い

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別に、結界張ってるわけではない。 町からそんなに離れているわけでもない。 ましてや清域だからと敬われて足を踏み入れるのは恐れ多いとかそういうものでもない。 「なのに、何で誰もこないんだ……。」 あるかなり晴れた日。 昼寝にも飽きて、鳥居の上で何か起きないかとなんとはなしにごろごろしていた。 数十分後。 あまりにも変わらなさ過ぎる風景・空気に、飽きるのにも飽きてしまったそんな時。 ふと、冒頭の思考が浮かんできたのだ。 「ここまでちょっと山道が急だとかちょっと獣道だとか絶妙に脇道に逸れた場所にあるとか…冒険心出せばすぐわかる場所なはずなんだけど。」 昔は小さい子供とかが見つけては「秘密基地だ!」とか言って遊びに来たものなのに。 今の子は散歩のついでに見つけた山に探検しにこないものなのか? いやむしろ人とは散歩で山に来ないものなのか?? かなり長くここにいるが、いまいち人間の行動パターンは理解出来ない。 「…しょうがない。」 そう呟いて、僕は鳥居から飛び降りた。
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