壱目のお祓い

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一瞬言われた事に混乱して頭が真っ白になっている間に、お兄さんはそそくさとその場を足早に去っていってしまった。 誤解と修正をする暇もなかった。 もう会わないだろうけど、誤解、解きたかったな……。 しかしたかだか暇かと聞いただけで、何故あんな間違った受け取り方になったのか。 訳が分からず後ろを振り向いてみる そしてある店の看板と視線がかち合った。 『ゲイバー☆すたーだすと』 …今度は背後に気を付けよう。 僕はそう心に堅く誓って、二人目を捜しはじめた。 しかしその後もお賽銭してくれそうな人は見つからず。 三、四、五人とばったばったと切り捨てられ、お賽銭奉納者探しは早くも手詰まりの体を要してきた。 「二人目が女の子でナンパに間違われる、三人目がサラリーマンでセールス勧誘、四五が老人で宗教詐欺に間違われ警察呼ばれそうになる…。」 僕はとりあえず一時町を離れて近くにある河川敷へとやってきた。 その斜面に仰向けに寝転んで、今まで玉砕してきた人達を指折り思い返す。 …あれ、なんだか僕しょげてきそう。 「お狐様を粗末にするといけないんだぞー。」 ごろりと体を横にしてぼそぼそとつい愚痴る。
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