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まぁ誰にも知られてない稲荷を粗末にしてるって言ったって、そりゃ知られてないから大切にするも何もないんだけどさ。
うーうー唸りながら目の前の草をぶちぶち採取していると、ふと目の前が暗くなった。
誰かが上から見ているらしいと気付くのには少し時間が掛かった。僕は人がいるだろう方向に首を回してみた。
するとそこには、小さな女の子がこちらを覗き込んでいた。
しかもじーっとこちらを強烈に見ている。
見たところ幼稚園か小学校低学年くらいの女の子だが…しかしいくらなんでも直視し過ぎである。
首をそちらに回してしまった為に視線が合わさってしまった。
…め、目線が外せない…。
この状態どうしてくれようかと途方に暮れていると、不意に女の子が笑った。
無邪気という表現がぴったりの笑顔と共に、女の子はこう言った。
「おにぃちゃん、きつねさんなの?」
どうやらさっきの愚痴を聞かれていたようだ。
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