壱目のお祓い

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「ねぇねぇ、このおみみはほんものなの?」 そう言って少女は僕の頭に手を伸ばした。 一瞬耳を全力で引っ張られそうな空気を感じて、僕は慌てて身を起こし掴まれることを回避する。 …そう言えば誰もいないからと思って、化けるの手抜きしてたんだった。 おまけに尻尾までばっちりでている。 これでは愚痴を聞いていなくても誰だって見れば一発で分かる。 久々の勧誘だからって気を抜き過ぎた。 一時、この子にどう言い訳して誤魔化そうか考えたがすぐに考えを転換して開き直ることにした。 そうだ、むしろ好都合だ。
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