プロローグ

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 神聖な雰囲気に包まれた神殿らしき建造物の中。 吹抜けのある高い天井も、細やかな彫刻が施してある徒広い壁や石作の床も全て真っ白な空間。 その真ん中で石台に突き刺さった美しくも妖しく禍々しい漆黒の長剣と剣の前に立つ僕。 そして、僕の視線の先で怪しい集団と対峙する美しい双子だと思われる姉妹(?)。 完全なる非日常が僕の眼の前にある。  さて、ここで唐突だが平穏な日常とは大変得難いものである。 眠気で辛い起床も、マラソンコース並に距離のある徒歩通学も、眠気を誘う退屈な授業も、壮絶なパン争奪戦も、友人とのとりとめもない会話も、ニュースを見ながら食べる夕食のカップ麺も、温かく柔らかなベッドと布団も……。 普段気付かないだけで、どれも儚く得難いものなのである。 しかし、僕はたった今そんな日常を失ってしまった……らしい。 とりあえずもう少し現実逃避をしたいので回想でもしよう。    
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