プロローグ

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 ベチャという音だけがやけに響いていた。 僕が鞄で殴ると水溜まりは動きを止めた。 ……何も起こらない。 どうやら死亡フラグではなかったようだとホッとした瞬間だった。 前振れもなく水溜まりが爆発する様に膨張し、僕を呑み込んだ。 黒い液体の中で息も出来ずもがく。 だが、その後直ぐ浮遊感とグルグルとまるで洗濯機の中に放り込まれた様な感覚――体験したことないけど。 そんな感覚に見舞われ僕は意識を手放した。  ……回想終了。 そんな訳で目を覚ませば、軽い乗り物酔い状態でこの神殿らしき建物に居て。 それから、やっと酔いが治まり現状を調べようとした矢先に爆音が響き渡り。 今度は何だと入り口の方を見ると、入り口らしいドでかい石の扉が破壊されていて。 そして、そこから怒濤の勢いで土煙を突き破り、双子の美人姉妹(?)とそれを追っているらしい怪しい方々がやってきて今に至る。 何故この平穏をこよなく愛する平凡で人畜無害な高校生の僕が、いきなりこんな明らかに平穏とかけ離れた非日常に放り込まれなくてはいけないのか……? 主よ、存在しないとわかっていますが、僕はあなたを恨みます。    
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