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「好きです!」
「かぁーっ! たまんねー! もう一回!」
「好きでーす!」
「マジでたまんねえ!
もう全高校生の憧れ的なシチュエーションだな!」
ある学園の体育館裏。昼休みに男二人でそんなやり取りが行われていた。決してあっち系の類いではない。
そんな二人の元に、走ってきたのだろう。若干息を切らせたそこそこ美形の男子がやってきて唇を震わせた。
「ここにいたのかよ! 隼人。中村先生がお前のこと捜してたぞー」
「マジで? 今行くって言っといて」
「うるさい。自分で早く行け」
「はいはい。ったく和志は煩いよなー」
そう言ったのは竹中 隼人(たけなか はやと)。高校二年生でそこそこの整った中性的な顔立ちの人物である。
そして、その隼人を呼びにきたのが佐々木 和志(ささき かずし)。隼人の幼なじみでこれまた結構な美形である。
「隼人ー! また放課後に告白される練習しようぜー」
と馬鹿丸出しのことを言ったのは、大橋 望(おおはし のぞむ)。外見に置いては特筆するところもない普通の男子高校生である。
「OK。なら次は俺が告られる番な」
「おう。じゃあ場所は河原だ」
「またベタだなー。まっ、いっか」
「おい! 馬鹿なやり取りしてないで早く行ってこい」
「はいはい」
けだるそうに竹中 隼人は体育館裏から校舎の中へと向かって歩いて行った。
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