竹中 隼人という男

2/7
前へ
/130ページ
次へ
「好きです!」 「かぁーっ! たまんねー! もう一回!」 「好きでーす!」 「マジでたまんねえ! もう全高校生の憧れ的なシチュエーションだな!」 ある学園の体育館裏。昼休みに男二人でそんなやり取りが行われていた。決してあっち系の類いではない。 そんな二人の元に、走ってきたのだろう。若干息を切らせたそこそこ美形の男子がやってきて唇を震わせた。 「ここにいたのかよ! 隼人。中村先生がお前のこと捜してたぞー」 「マジで? 今行くって言っといて」 「うるさい。自分で早く行け」 「はいはい。ったく和志は煩いよなー」 そう言ったのは竹中 隼人(たけなか はやと)。高校二年生でそこそこの整った中性的な顔立ちの人物である。 そして、その隼人を呼びにきたのが佐々木 和志(ささき かずし)。隼人の幼なじみでこれまた結構な美形である。 「隼人ー! また放課後に告白される練習しようぜー」 と馬鹿丸出しのことを言ったのは、大橋 望(おおはし のぞむ)。外見に置いては特筆するところもない普通の男子高校生である。 「OK。なら次は俺が告られる番な」 「おう。じゃあ場所は河原だ」 「またベタだなー。まっ、いっか」 「おい! 馬鹿なやり取りしてないで早く行ってこい」 「はいはい」 けだるそうに竹中 隼人は体育館裏から校舎の中へと向かって歩いて行った。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

638人が本棚に入れています
本棚に追加