竹中 隼人という男

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結局、俺の逃避行と言う名の早退は保健室に行くことさえ出来ずに夢と散った。 そして宇宙人とでも話してんじゃないか? って思うぐらいに難しい授業を聞きながら五時間目の物理は終了した。 休み時間になると、俺の机の周りに和志と望がやってきた。 「また半端なく課題もらったなー」 と和志。 「これってイジメだよな? あっ、つうか望。 放課後に数学の補習つう予定が入っちまった」 「あー、予想してた。まっ、告白される練習はまた今度でもいいけどさ。 お前よくここに入れたよなー」 「確かに!」 望の言葉に和志が相槌を打ち二人で笑う。笑い事じゃねえ。笑い事じゃねえよ。これは大事な事だ。 つうか、俺から言わせれば馬鹿の望が学年で中間の順位を保っているということが何より疑問だ。俺がこの高校に入学出来たつうことよりな。 「笑い事じゃねえよ。はぁ……卒業する前に忙殺される気がしてならねえよ」 「そう言うなよ。お前が無理して入ったのが悪いんだからさ」 そう言ったのは和志。俺の中学では学年一位だった学力を持っていた和志もこの学校じゃ、中の上って言うレベルだ。頭痛い…… たいして俺は中学の成績は偏差値が全国平均よりちょっと高いぐらいだった。本当……背伸びし過ぎたよ。 「あっ、そろそろチャイム鳴るな」 和志がそう言うと、望も和志も自分たちの席に戻って行った。 それから六時間目、七時間目と授業を済ませその日の学校は終わりを告げた。……俺以外。
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