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「うん、これで登録は完了だね。ご苦労様。試験はいつになるか分からないから、首を長くして待っているといい」
刀悟が様々な事に気を取られながら書き上げた書類に目を通し、桐島は頷きながらそう言った。彼は背を向け、その書類を机の引き出しにしまうと、二人の方を振り向きながら言う。
「じゃあ、そろそろ出て行ってね。仕事の邪魔になるから。君たちがいると、どうも無駄話をしたくなるんだ」
「あっ、そうですか。分かりました。連絡はどうやって来るんです?」
既に直立し、退室する気満々だった刀悟は、椅子に深く腰掛けた繚の手を引き、立ち上がらせながら問う。桐島は顎を手で抑え、軽く首を捻って唸り出した。そんなのはお構い無しに、刀悟は矢継ぎ早に次の言葉をぶつける。
「やっぱり電話ですか?」
「私は電話が嫌いなんだ。受けるのはいいけど、掛けるのはね。誰か適当な生徒に伝言を頼むと思うよ」
携帯電話を取り出し、電話番号を言う準備は万端だった刀悟だが、桐島の一言に反応してすぐポケットに収めた。刀悟は以前、桐島の電話嫌いを聞いていたのだが、見事に忘れたらしい。
何はともあれ、第一目標は達成されたのだ。二人は大人しく、桐島研究室から退出するのであった。
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