第一話

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誰だろう。 げた箱に手紙なんて、こんなのドラマ以外であるもんなんだな。 「最近のドラマでもげた箱に手紙なんてねぇよ。そんなベタなのは、」 「うわぁ。って北山!?お前人が考えてること読むなよ。」 北山ってのは、悪友みたいなもんだ。 人が考えてることを読むのが好きな変態。 「だってお前ぶつぶつ言ってたからな。」 「あっそ。」 キーンコーンカーンコーン 「さ、てめぇは席に着け。」 「せっかく面白かったのにな。」 「面白がられてたまるか。」 放課後 ここは屋上。 で、律儀にも来ちまったよ俺。 手紙の字からするに女子っぽいからな。 『待ってます。』って書いてあったのに何で俺が待ってるんだ? ガタガタ ようやく来たらしい。 …ガタン だ、大丈夫かなぁ。 ギィー 「はっ。ま、待ちましたよね。ごめんなさい。HR長くって、」 「い、いいよいいよ。気にしてないし。で、何の用かなぁ?」 「中原壱羽(いっぱ)さん」 「は、はい。」 「わ、私と結婚して下さい!」 こ、こここ告白!? いやぁまいったなぁ。あは、あはは…は? ん?結婚…? ていうことは、 「プ、プロポーズ!?」 「はぅ。」 あれ待てよ? 手紙手紙っと。 あれ?差出人不明。 「待った。」 「え?な、何ですか?」 「アンタだれ?」 「ふぇ?」 あ、慌ててる。 「て、手紙に書いてませんでしたか?」 「あ、うん。」 だから聞いたんだけどなぁ。 「ご、ごめんなさい。私、神凪絢芽(あやめ)っていいます。」 「じゃあ、絢芽ちゃん。」 「は、はひぃ。」 「何故に告白じゃなくてプロポーズ?」 「そ、それは……」 絢芽ちゃんは良家のお嬢さまで家の仕来りで16歳には結婚相手を決めなくちゃならないらしい。 「で、俺のところに?」 「は、はい。」 「で、コイツのどこが良いんだ?」 いきなり北山が湧いて出やがった。 「ひぃっ!!」 「絢芽ちゃん。怯えなくて良いよ。俺コイツの友達。」 「北山。お前いつから、」 「初めっから。で、どうなのよ壱羽。」 「どうって。」 まぁ、可愛いし、良い子っぽいからなぁ。 「あ、聞き忘れてた。絢芽ちゃん。」 「はい?」 「コイツのどこが良いの?」 「え?(かぁぁぁ)そ、それは、この前助けてくれたから。」 「え?」 「図書室で高い所の本を取ってくれて、それで、ひ、一目惚れしちゃって。」 俺たちは顔を見合わせた。 それで俺のところに? 「他の男子じゃ駄目なの?」
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