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「…さま……んなさま…旦那様。起きて下さい。旦那様。」
「ん?んあ。」
まだ眠い。
「お休み。…ぐぅ。」
「あぁ。旦那様!起きて下さい。」
「い、今何時。」
「8時ですよ。お休みだからって寝てちゃ駄目ですよ。」
8時…いつもなら余裕で寝てる時間。
ん?『旦那様』?
あれ?って事は、
「夢じゃ無い!!」
ガバッ
「きゃぁ。いきなり起き上がらないで下さい。びっくりしたじゃないですか。」
「あぁ。ごめん。」
昨日の出来事を思い出す。
『『良いよ。』って言ったんだ。お互いを知ってる訳じゃないけど、絢芽ちゃんは良い子だって分かる。むしろ嬉しいくらいだ。だから泣かないで。』
なっ!!
俺結構臭い台詞吐いてる気がする。
「むぅ。」
「どうかしましたか?旦那様。」
「いや、なんでもな……あの、絢芽ちゃん?」
「はい?」
「その格好は……」
その姿はまさしく女の子がすれば男はイチコロで落ちる。そう、
「は、裸エプロンですけど。」
「絢芽ちゃん。そんなのどこで、」
絢芽ちゃんは恥ずかしそうにしながら、
「お兄さまの本にあったんです。」
「お兄さまの本?」
「はい。」
俺は朝飯を食いながら、悲しそうな顔をする絢芽ちゃんの話を聞いた。
「私には兄が1人、妹が1人いるんです。」
「うん。」
「今まで接した事がある男の人は旦那様の他にお兄さましかいなくて、」
「そっか。」
それで会えないのが寂しいんだ。
「それで、昔お兄さまの部屋にあった本に女の子が裸にエプロンを着た絵が描かれ『裸エプロンは男のロマン!!』って書いてあって、」
あぁ、その兄貴終わってんなぁ。
「嫌いでしたか?」
「い、いや、嫌いじゃないけど……」
困ったなぁ。どう言って止めさそうか。
「や、やっぱり止めますね。変ですよね。私、そんなにスタイル良くないし。」
「いや、そんなことは……」
と言いかけたが絢芽ちゃんは今にもエプロンを取ろうとっっっ!!!
「ちょっと待った。後ろ向くから。」
「は、はい。ごめんなさい。」
うわぁ。なんていうか、着替えてる音が。
「もう、良いですよ。」
「……」
「旦那様?」
「ん?あぁ、うん。」
とりあえず、向き直した。
「そういえば、そのお兄さんはどんな人なの?」
「そう、ですね。なんていうか、趣味にこだわりを持ってるというか、趣味の話をしだすと輝き出すというか、まぁ俗に言う『ヲタク』というのでしょうか。」
……俗過ぎだ。
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