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「確かに拾ってきたのは俺等だけどよ、何で子守りまでせにゃならんのよ?」
廊下に出るなりぼやく男。
「仕方が無いさ。
どこも暇じゃない。
それに、私達が彼女に対して責任を負うのは当然と言える。
どの道無関係という事も無いだろ」
ミフユの発言に渋々納得する男、ガラッド。
廊下から見える景色から、開発途上の建築物がそこかしこに覗かれる。
ここは、発展途上国の都市部の様だ。
「ミリア、どうした?」
普段明朗な同僚の、感慨深気な表情を気に掛けるミフユ。
「え?
…何でもないよ」
「そうは見えないけどな」
数瞬の間の後、
「ミフユ、あの不明な現象をどう思った?」
ミリアの問いに対し、答えに詰まる。
「どう、て…
分からない、としか言えないな。
あんなものは見た事がない。
科学者として、認めたくはないがね」
「そういう事じゃなくて」
ミフユは首を傾げてしまう。
彼女が示唆する所を量りかねる。
「…私達の知る現象に、あんな事は不可能よ。
人の意識があんな現象を生み出すなんて、有り得ない」
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