破壊者

2/13

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
“銀の炎”が“敵”を消していく。 次々と粒子へ還される“敵”を、自分は冷たく見据えていた。 何故戦うのか。 それは生きる為だ。 生きる、とは? 自分にとって、それは大切な人と共に在る事だ。 なのに、1人だ。 自分以外の存在を感じない。 “敵”を全て消し去ったところで、戦う意義を己れに問う。 自身の運命に真っ向から立ち向かったのは、生きる為だ。 なのにそれ自体を失った今、抗う意味があるのだろうか。 “エリー” 大切で、愛しい存在。 その人だけではない、自分を慈しんでくれた人達。 懐かしい情景が浮かんでは、移ろい行く。 けして戻る事のない日常。 この夢の中に居られたなら、どれほど楽だろう。 だが、幻の時間は終わる。 現実に背を向ける時間は、終わったのだ。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加