破壊者

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窓際に立ち、外界を見下ろすフィフィ。 ただ、茫然と立ち尽くしていた。 彼女の瞳は、真に何を見据え、何を写しているのか。 他者に、それは窺い知れない。 「少しは落ち着かれました?」 郷愁のフィフィへと歩み寄り、気遣うミリア。 「うん。  さっきはごめんね。  あんな姿見せちゃって…」 苦笑を浮かべるフィフィへ、ミリアは首を横に振って見せる。 「戸惑うのも、仕方ないですよ。 起きてみたら数十年後の未来なんて…  誰でも混乱します」 リアクションを取りかね、またも苦笑を返すフィフィ。 「でも…私は、嬉しいです」 「え?」 ミリアの言葉に戸惑う。 「だって、高名な歴史上の人物にお会い出来たんですから。 この奇跡に、私は感謝しています」 屈託なく笑うミリア。 その笑顔に、フィフィは作り笑いで応える。 どう接するべきか量りかねていた。 自分は、この世界から外れた存在だ。 この時代の情勢も、何1つ分からない。 「ミリアさん、でいいのかな?」 「あ、はい」 「教えて欲しいの。  今、この時代の事を。  あの戦争の顛末を」 まずは知らねばならない。 自分の知らぬあの結末を。
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