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「博士が行方不明になったのが大戦初期ですから、知らなくて当然ですよね…
あの戦争は、勝敗が決してはいないんです。
余りにも戦火が拡大し過ぎてしまい、停戦協定に合意する形で終結に。
今も、敵愾心は燻ったままです。
酷く危うい均衡状態が続いています」
「そう…」
感慨深げに思考を巡らせるフィフィ。
自身の置かれた境遇よりも世界情勢を気にする。
ミリアにとって、それは大戦とフィフィの関係性を推測させた。
「世界は『干渉力』という超能力の流用に成功し、核に代わる大量破壊兵器、『オーディン』によって相当の被害を被りました。
地球にある大陸のおよそ1/30が、人の住めない領域になったんです」
「…そんな…」
フィフィは言葉を失う。
「最早、地球そのものが疲弊しきっているんです。
再生の術を確立し、早期に実現しない限り、この星自体が失われます」
力無くその場に膝を付き、愕然とするフィフィ。
突き付けられた現実は、傷心の彼女に追い討ちを掛ける。
今の世界の有り様と、フィフィの存在は密接にリンクしていた。
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