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彼らには彼らの理念と行動指針がある。
異質な事例とは言え、個人に対してあまり時間は割けない。
国家がバックボーンの団体である以上、相応の成果が求められているはず。
彼らに、余裕など無いのだ。
「あたしも、そのプロジェクトに参加させてくれないかな?」
フィフィの唐突な希望に、その場がどよめく。
「あたしは、貴方達の今知りたい答えを持ってる。
それに、超常学に答えを求めるなら、あたしの知識が役に立つかもしれない」
クロフォードがジェスチャーでその場を鎮める。
「その申し入れは素直に歓迎したいところだが…」
計画の進捗状況を鑑みれば、フィフィの協力は是が非でも欲しいところだ。
室内の面々からも、肯定的な空気を感じる。
「博士の精神状態が気掛かりだ。
確かに博士の協力は嬉しいが、今は静養し、ゆっくり自身の今後を考えても遅くはないと思う」
人の上に立つ者として、作業よりも個人を優先する。
クロフォードは人格者であった。
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