破壊者

12/13

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
彼らには彼らの理念と行動指針がある。 異質な事例とは言え、個人に対してあまり時間は割けない。 国家がバックボーンの団体である以上、相応の成果が求められているはず。 彼らに、余裕など無いのだ。 「あたしも、そのプロジェクトに参加させてくれないかな?」 フィフィの唐突な希望に、その場がどよめく。 「あたしは、貴方達の今知りたい答えを持ってる。 それに、超常学に答えを求めるなら、あたしの知識が役に立つかもしれない」 クロフォードがジェスチャーでその場を鎮める。 「その申し入れは素直に歓迎したいところだが…」 計画の進捗状況を鑑みれば、フィフィの協力は是が非でも欲しいところだ。 室内の面々からも、肯定的な空気を感じる。 「博士の精神状態が気掛かりだ。 確かに博士の協力は嬉しいが、今は静養し、ゆっくり自身の今後を考えても遅くはないと思う」 人の上に立つ者として、作業よりも個人を優先する。 クロフォードは人格者であった。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加