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荒涼とした大地を歩む、3つの人影。
『インジュラース(地球の傷)』
または悪魔の巣食う地とも、人は呼ぶ。
「この科学万能の時代で、悪魔とはね…」
フルフェイスの防護服に身を包む面々。
ウイルス対策使用の為か、見た目で性別の判断はつかない。
ぼやいたのは男性か。
「語られる事象には、必ず元になった何かがある。
実際ここには何かあるしね」
「衛星のあれか?
どうせ『オーディン』の干渉地帯だと思うけどな」
「それでも無駄足にはならんさ」
そうして3人が語り合っていた時、“それ”は見えた。
「…なんだ、あれは…」
駆け出し、“それ”がよく見える小高い丘を目指した。
直径数百メートルはあろうかという、黄金色の巨大なドーム状の何か。
あまりに、異質だった。
「何で、あんな巨大なものが衛星に映らない?」
「建造物なのか?
しかし…」
手持ちのレーダーはなんの反応も示さない。
「…綺麗…」
1つの場違いな感想をもらした女性を見据える他2名。
「…外見がああでも、こんな所にあんなもの…
有り得ないだろ…」
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