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「その、『オーディン』の被害区域って、今どうなってるの?」
目覚めた直後にミリアから大筋を語ってもらったが、未だ知り得ない事象は多い。
フィフィは研究室内にて、『ジャシアン』の研究資料及び、その他の様々な資料を閲覧していた。
「これが、今の現状です」
ミリアはやや躊躇いがちに、PCボードを見せる。
大陸にいくつも穿たれたクレーター。
その一帯は緑が失われ、抉れた大地それだけが存在を強調していた。
「なんで…?
既に数十年経過しているのに、どうして自然が失われたままなの?」
衛星から撮影しただろう静止画の違和感を口にする。
「『オーディン』の反転現象による物理崩壊は、干渉面に特異な崩壊現象を残留させるみたいです。
生命活動を阻害する、細胞異常を引き起こしてるんですよ。
その為、『オーディン』の干渉域では植物が育たず、生態系が維持できません。
地層の大部分が、『オーディン』の崩壊現象を受けているからです。
干渉面だけでも取り除ければ、或いは進展があったかもしれません。
ですが、微弱な物理反転現象が、今なお空間内で作用し続けています。
干渉域に、長時間居続ける事すら出来ないんですよ」
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