顕現する殺意

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「老化なんて、『干渉力』で簡単に止められる。 博士は、自分の体組織に干渉していないのかい?」 フィフィは緊張した面持ちだ。 不意に現れた訪問者、アノンの真意を量り兼ねている。 「アノン…  あれから、どうして…?」 動揺から、言葉に詰まる。 「あれから? それは、博士が逃げ出してから?  それとも」 アノンは、浮かべていた笑みを消す。 「“エリシャ”が死んでから?」 フィフィの顔から血の気が引く。 それを、考えまいとしていた。 その現実を直視していては、今、前に進めない。 「シルバーツ、お前を守って“エリシャ”は死んだんだ。 “エリシャ”は、僕を孤独から救ってくれた。  なのに…  お前のせいなんだよ… お前が、“エリシャ”を殺したんだよ!」 豹変するアノン。 その眼光は、鋭い殺意を放っていた。 「…僕は待ったよ。  お前を殺せるその時を。  57年だ。  長かったよ…」 アノンの左腕の周囲に、螺旋状の物質らしき物が瞬時に形成される。 「なっ!?」 驚くミフユ達を他所に螺旋から光刃を生み出し、その切っ先をフィフィの喉元に突き付けるアノン。
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