探求する可能性

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口調の悪い男が駆け出す。 「来ないで!」 ドームに接近していた女性が、突然声を荒げる。 それは、これまでの楽観的な態度とかけ離れていた。 思わず男は足を止める。 「大丈夫、任せて。  敵意が無ければ襲われない」 「は…?  おそ…?」 彼女は何を言っている? 何が分かっていると言うのか。 彼女、ミリアは更に前進していき、ドームに触れた。 「おいおい、なんだよ!」 突如黄金色の模様が明滅し始める。 そして、徐々に粒子状となって消失していく。 「いったい、これは…」 理解不能の事象に戸惑う2人。 その間に、ドームは完全に消失した。 「お前…何したんだ?」 「別に何も。 ただ、私は敵じゃないって、そう教えただけだよ」 「…そうか。  君は、ESPを扱えたな。 だとすると、今のは意識体だったという事か?」 「人の残した思念と、それによって構成されるプログラムみたいなもの、かな。  私も漠然としか分かんないや」 そう言って能天気に笑うミリア。 「なんにしても、こんなものは見た事も聞いた事もない。  ミリア。 今の存在がなんだったのか、もう少し詳しく分からないか?」
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