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ミフユは何を言わんとしているのか。
「シルバーツ博士の研究なぞ、単なるきっかけに過ぎなかったと。
ただ、博士が、『干渉力』が優秀過ぎただけだ」
フィフィに感情的に当たってしまったミフユだが、世界を破滅に導いている要因が別にある事は理解している。
歴史に名を残す人物とはいえ、一科学者の思惑で世界が動くほど、世の中は単純ではない。
「私の生まれた国は、オゾン層の消失で、太陽光に焼かれた。
15年も前の事だが、あの惨状を忘れはしない。
未だに、あの情景を夢に見る。
分かってるんだ。
あれはシルバーツ博士のせいではない。
ただ…
それでも、割り切れないものがある」
ミフユが語るのは、自身のトラウマだった。
為す術の無い災厄に襲われる。
出来る事は、逃げて、祈りを捧げる事のみ。
どれ程の恐怖だったのか。
経験から生まれる感情が、フィフィを拒絶していた。
「ミフユ。
分かってあげてとは言わない。
でも、これ以上責めたりは…」
「…ああ。
あんな現場に遭遇して、まだどうこう言おうとは思わんさ。
私もそこまで鬼じゃない」
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