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『オーディン』の反転現象が残留する地帯。
大小含め、８５６ヶ所が確認されている。
生命の生きられない、歪んだ世界。
この空間内では、物質は徐々にその組成を失ってゆく。
空間内を支配するこの崩壊現象の名残を無効化しない限り、生活圏は狭められたままであり、これによって変動した気流は、近隣区域に予期せぬ災害をもたらす。
幸いな事に、この現象は拡大しない。
『オーディン』は、範囲を限定して干渉するからだ。
それが名残にも付加され続けている。
「これが、あたしが残したもの…
結果…、なんだ｣
眼前に広がる削り取られた大地を見据え、呆然と立ちすくむフィフィ。
地平線の彼方に、微かに見える領域外の風景。
山間らしきものすら霞んで見えるほど、被災地は広域に及んでいた。
直視する事で、改めて自身の罪がどれ程のものか、思い知らされる。
自身の示した可能性が、最悪の結末を生んでしまった。
どれ程の命を摘み取ったのか。
想像するだけで、身がすくんだ。
それでも、今自分に出来る僅かな贖罪が在る。
涙を滲ませるその瞳に、再び決意の火が灯る。
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