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歪んだ心は全てを否定し、見下していた。
「今だってそうだ。
汚れた世界の利権を狙い、貪る、卑しい奴等。
ほんの少し刺激するだけで、簡単に崩れるバランス。
どこまでいっても、汚れが消える事は無い。
滅びたいのさ、人は。
なら、滅びればいい。
再生なんて無意味だ」
そう言い捨てたアノンの瞳は、あまりに冷たかった。
「シルバーツ。
お前の行為は無駄だ。
もう手遅れで、救いようがない。
そういう運命だ」
絶望は、彼の中で、いつしか諦めに変わったのか。
フィフィは、そんな彼を前に、
「…今、ようやく理解した。
あたしが、今ここに在る意味を」
フィフィは、悟った。
時を超え、今自分が、この時この場所に在る意味を。
「あたしは、アノンに何言われても、何されても、仕方無い。
憎まれていても仕方無い。
でも」
フィフィは気圧される事無く、毅然とアノンを見据える。
「あたしは、世界を救ってみせる。
その為に、あたしはきっと、この時代で目覚めたのだから。
…だから」
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