28人が本棚に入れています
本棚に追加
/203ページ
そこは、この世の摂理から外れた空間を思わせた。
崩れかけた岩塊、空中に舞った枯れ葉と微細な粒砂。
今居る先の空間が『制止』していた。
光の差す加減すら、周囲と異なる。
「なんだこりゃ?
TAW(時間軸変動)の作用か?」
「いや、それにしては安定し過ぎてる。
境界線が曖昧だしな」
「…また分からん現象か。
予想はしてたけどな」
その空間にミリアが近づくと、またもや変化が起こる。
静止画の様に停止していた世界が、途端に息吹きを吹き返した。
劇的に変化した訳ではない。
動く筈のものが、当然のように自然現象を取り戻しただけ。
『制止』したその風景を知るものなら、大きな変化に映るかもしれないが。
「何でミリアが近づくと、何か起きるんだ?」
男がいぶかしむが、
「分かんないよ。
…でも、この場所は、何かきっかけを求めていたのかも。
それがたまたま私だった。
そう考えるのが自然かもね」
最初のコメントを投稿しよう!