今此所に在る意味

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数本の光線をいなして回避するが、残光線に腕と肩を貫かれる。 フィフィが苦痛に表情を歪ませる最中も、アノンは容赦無く攻勢を続けた。 無数に生み出した光線が、アノンを包む様に周回し続け、それらがランダムに解き放たれてはフィフィに襲い来る。 『転移』で回避行動を取るが、またも『転移』先を狙われる。 アノンに、フィフィの『転移』は完全に見切られていた。 『転移』の座標指定を無効化出来る点からも、フィフィ以上に『干渉力』を理解し、行使出来る事は間違いなかった。 『転移』自体にタイムラグは存在しないが、事前に『転移』先を指定する必要がある。 アノンは、おそらくそれを察知出来るのだろう。 フィフィは身構えていた為、光線は肩や足を掠めた程度で済んだ。 しかし、アノンの攻撃は貫通力が並外れて高く、速度も凄まじい。 回避仕切れない為に『転移』を使用しているのに、それが通用しないとなると、あまり手立てが無い。 防戦ばかりでは、いつ仕留められてもおかしくはなかった。 戦うのか、彼と。 どれだけ傷付いても、アノンへの敵意は湧かず、現状からの回避ばかりが頭を占める。
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