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追い討ちを狙っていたフィフィは『転移』の初動に間に合わなかった。
その為、予め『エンゲージ』に設定しておいた『盾』を起動する。
だがアノンの光線や光刃が貫通してくるのは分かりきっていた。
それでも『盾』を行使せざるを得ない。
だから、『盾』の特性を切り替えた。
受けるのではなく、光線の方向性をねじ曲げる。
フィフィの選択は成功し、衣服の裾にかする程度で光線から逃れる。
「ちぃっ」
舌打ちし、フィフィを睨み付けるアノン。
フィフィとアノンの放つ光は、厳密に言えば光エネルギーや熱量ではない。
それは、互いの『存在』自体への干渉行為だ。
『干渉力』は、有機無機の物質に留まらず、この世の法則性にすら干渉出来る。
その技術の一端として、自身の存在する位置を他に置換する『転移』があり、外部からの干渉を遮断する『盾』がある。
この不可視の『盾』を行使、または自身の『存在位置』を固定する事により、あらゆる物質エネルギーを遮断出来るのだ。
アノンの光刃はその物質エネルギーを遮断する『盾』を貫く。
それはフィフィの定める存在への介入行為だ。
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