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互いにその存在を確たるものとする同士、戦うには、存在に干渉し合うしかない。
その為の力場が大気中にも干渉し、光の様に見えるのだ。
その光刃を閃かせ、アノンは体制を立て直す。
2人の視線が衝突し、絡み合う。
その間に、言葉は無かった。
長くも短い数瞬の後、どちらからともなく動き出した。
アノンは周囲3ヶ所の空中に、小型の新たな『エンゲージ』を形成する。
その瞳に、最早侮りは無い。
フィフィもまた空中に『エンゲージ』を生み出す。
アノンのものより大きく、フィフィ自身と同じくらいの大きさだ。
フィフィの表情は優れない。
冷や汗をかき、血の気が引いていた。
アノンから受けた傷は深く、出血量も多かった。
しかし、今は出血を殆んどしていない。
傷を癒す術があるのか。
それでも、フィフィの消耗は明らかだ。
さほど持ちそうにはなかった。
だが、フィフィの瞳から知れる輝きは、自身の生を諦めてはいない。
「気に入らないんだよ!
その目が!」
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