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激昂するアノン。
その形相に、フィフィはたじろぐ。
「僕は何も求めちゃいなかった!
ただ、エリシャがこの世界に居る。
それだけで僕は満たされてた!
なのに、何でお前だけが、エリシャの傍に居られる?
必要とされた?
僕だって、彼女を必要としているのに!」
包囲するアノンの『エンゲージ』から、不快な圧力を感じる。
おそらくこれは、フィフィの能力使用を阻害する力場を展開している。
フィフィの形成していた新たな『エンゲージ』が不安定になり、徐々に形状の維持が難しくなる。
「なっ…え」
そして、その瞬間を逃すアノンではなかった。
光盾が不安定になった瞬間、アノンは一層の輝きを放つ光刃を振るった。
『転移』が、使用出来なかった。
これも力場の影響か。
慌てて後退しようとしたフィフィの胸元を、光刃が深く切り裂いた。
衝撃で意識が飛びそうになるが、不安定ながらも未だ在る『エンゲージ』から、無数の光槍を射ち放つフィフィ。
アノンはそれを『転移』で回避、または受け流し、左手を振るう。
それが合図とばかりに、フィフィを包囲し続ける小型の『エンゲージ』が、光刃を撃ち出した。
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