今此所に在る意味

27/29
前へ
/203ページ
次へ
至近距離からの射撃に対応出来ず、フィフィは手足を貫かれる。 「うあっ」 堪らず怯んだフィフィにアノンは接近し、細首を絞め上げ地面に叩き付けた。 その衝撃を物語る様に、地面が抉れ陥没する。 「気に入らない…  お前の存在そのものが! 『相互干渉』を受け続ける度に、虫酸が走る。  …クハハ。  だがそれももう、ここまでだ」 待ち望んだ瞬間を前に、アノンは笑う。 「お前のしてる事は、全て無駄なんだよ。 だいたい『オーディン』の残象を消したところで意味は無い。 再び使われるのも、時間の問題だからな。  それに、『メサイア』もだ」 首を絞められ苦悶に歪むフィフィの表情が一層陰り、困惑の様相を見せる。 それを前に、アノンは醜悪な笑みを持って悦に浸る。 「クク… 『ジャシアン』の創設が国家群と絡んでいるのは知ってるだろ。 まさか、『ユミル』が無関係だとでも?  意外と思慮が足らないな。 お前の行為は、汚れた政治に手を貸しただけだ。 そして『メサイア』が確立した時点で、『ジャシアン』は無用って訳だ。 ハイエナの様に漁る、浅ましい奴等さ」
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加