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フィフィの何もかもを否定するアノン。
彼の言葉を理解する中で、今早急に気掛かりな事項。
それは、『ジャシアン』についてだ。
『メサイア』、つまり世界再生の手段確立後に、『ジャシアン』は不用という点。
そして、『メサイア』は政治利用されるという事。
それには、『メサイア』の開発側に生きていてもらっては困るだろう。
乱暴な推測だが、フィフィは『ユミル』がそういう組織である事を知っている。
フィフィを発見、保護した『ジャシアン』のメンバーに、危険が迫る事が窺い知れた。
「お前は無意味に死んでいく。
世界もな。
先に逝って待ってろ」
静かに、冷徹に言い捨てた刹那、
「な、に…っ」
アノンの表情が驚愕に取って変わる。
身体が動かなかった。
身動ぎ1つ出来ないままに、アノンは押さえ付ける女性を睨み付けた。
「き、さま…
まさか、僕に、ハッキングしたのか」
「貴方が、どれ程の絶望を知ろうとも、他人の現実を否定する権利は、無い」
「シルバーツーっ!!」
過信、侮り、油断。
不用意にフィフィに触れた結果、付け入る隙を与えた。
一瞬の、意識が途切れる間際に絶叫した後、アノンは、フィフィの上に倒れ伏した。
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