願う、その心のままに

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「はぁっ、はぁ」 2階の廊下を全力で駆けた。 廊下が切れ、吹き抜けのロビーに出る。 勢いを殺せず、手すりに半ば腹部をぶつける形で停止した。 見下ろせる1階ロビー内を見渡す。 警報を受け、状況を知らされただろう警備員達が慌ただしく動いていた。 出入口を封鎖し、部外者へ説明している風の警備員。 そこに、先程の男が臆面も無く堂々と現れる。 封鎖された出入口へ向かっていた。 「その男よ!  捕まえて!」 ややざわつくロビー内でも、ミリアの声はよく響いた。 警備員の1人がミリアの声を受け即座に示唆された人物を探す。 労せず理解した。 その男の纏う空気だけが異質だった。 男は不敵な笑みを称える。 既に隠し立てをするつもりが無い様だ。 それに他の警備員も気付き、注視する。 「少しいいかな?」 控え目な口調で、男に最初に気付いた警備員が話し掛ける。 口調とは裏腹に、腰のホルスターに手を掛けながら。
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