28人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁっ、はぁ」
2階の廊下を全力で駆けた。
廊下が切れ、吹き抜けのロビーに出る。
勢いを殺せず、手すりに半ば腹部をぶつける形で停止した。
見下ろせる1階ロビー内を見渡す。
警報を受け、状況を知らされただろう警備員達が慌ただしく動いていた。
出入口を封鎖し、部外者へ説明している風の警備員。
そこに、先程の男が臆面も無く堂々と現れる。
封鎖された出入口へ向かっていた。
「その男よ!
捕まえて!」
ややざわつくロビー内でも、ミリアの声はよく響いた。
警備員の1人がミリアの声を受け即座に示唆された人物を探す。
労せず理解した。
その男の纏う空気だけが異質だった。
男は不敵な笑みを称える。
既に隠し立てをするつもりが無い様だ。
それに他の警備員も気付き、注視する。
「少しいいかな?」
控え目な口調で、男に最初に気付いた警備員が話し掛ける。
口調とは裏腹に、腰のホルスターに手を掛けながら。
最初のコメントを投稿しよう!