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「…フッ」
男が鼻で笑ったその瞬間、触れてもいない警備員の首が、鈍い音を発てて有り得ない方向に折れた。
糸の切れた人形の様に、警備員は床に崩折れる。
女性のものだろう悲鳴がロビーを満たした。
「おいおい、なんだ!?」
「ミリア、今のは…」
遅れてミリアが来た廊下からロビーに到着する、ミフユと警護官のガラッド。
目の前の警備員を殺した男は、笑みを浮かべてゆるりと出口に向かう。
「動くな!」
銃を構え男を包囲する警備員達。
「…クク」
男が笑った瞬間、近くで包囲していた警備員達が部屋の隅まで吹き飛ばされる。
「今は、迷わず射つところだよなぁ」
「こいつ…
『サイコキネッサー(念動力者)』か!」
男が顎で軽く示すと、出口付近の警備員の1人が宙に浮いた。
「え、な!?」
動揺する警備員を豪快に左右に振り回し、包囲陣を薙ぎ払ってゆく。
「くそ、撃て!」
放たれ、迫る弾雨を見もせずに空中で止める男。
瞬間、止めた弾丸を撃った本人達へ撃ち返す。
「ぐあっ」
「なに!?」
いくら『念動力者』とは言え、弾丸を止めて同速度で返せる者などそうはいない。
彼はかなり強力な能力者の様だ。
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