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男は『念動力』でロビー内のガラスを次々砕いていった。
そして、無数のガラス片を空中に舞わせ、旋回させる。
「うあっ!」
「キャアっ」
ロビー内の人々が刻まれていく。
「こいつ…っ!」
ミフユが険しい表情で男を睨み付け、ガラッドが銃で狙いを定める。
男が、こちらを見据えた。
真っ直ぐ、ミリアを見ている。
醜悪な笑みを前に、ミリアは後ずさる。
そんな彼女へ向け、男は無数のガラス片を撃ち放った。
2階ロビーに飛来するガラス片。
それは、絶望的な光景に畏縮するミリアを避けていく。
壁に突き刺さり、床を削って砕けるガラス片。
「なに?
同能力者か…?
『相互干渉』は感じないが…」
動揺を露にする男。
ミリアの前には、敵愾心を剥き出しにするミフユが毅然と立ち塞がり、男を見下ろしていた。
「そんな雑な能力と一緒にするなよ。
ガラッド、撃て」
ミフユが吐き捨てる。
「あ?
けどよぉ」
先程の状況を見ているガラッドの躊躇いは当然と言える。
「いいから撃て!」
それでもミフユは構わず叫ぶ。
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