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中学一年生になる春、俺は最愛の家族を亡くした。
両親と兄の三人で車で買い物に行った帰り道、交通事故にあったらしい。
その日、俺は友達に誘われて遊びに行っていた。
もし用事がなかったら俺も同じ運命を辿っていただろう。
けれど、あの時はそれを望んでいた。
小学校を卒業したばかり、まだまだ子供だったあの時の俺にとって、この世に一人残される孤独はとても耐えられるものではなかった。
それからは外にも出ず、家族の写真を抱きしめながら泣いて過ごす毎日……
身の回りの世話をしてくれる人も居らず、俺は餓死寸前のところまできていた……
そんなある日、俺の家に一人の女性と二人の女の子が訪ねてきた。
「……誰?」
「人に名前を聞く時はまず自分から名乗るものなんだよ? 両親に教わらなかったの?」
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