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…ここ…何処?
「…~うぁあん!!ヒック…うっ…く…」
……?誰か泣いてる…?
「よるくん…おひっこししても…ヒック…。あ…あさのことわすれないでね…?」
「あたりまえだよ!あさちゃんはぼくのおよめさんなんだからっ!!」
「…あさ、よるくんのことだいすきだよっ…」
「ボクも…あさちゃんのことだいだいだ~いすきだよっ!」
〈よる〉と呼ばれる男の子はそう言うと、〈あさ〉という女の子の小さな体を力いっぱい抱きしめた。
「よる~!!もう行くわよ!」
後ろからお母さんの声が聞こえる。
「…あさちゃん。ボク、もう行かなきゃっ…」
男の子は、すごく寂しそうな顔をしながら女の子を無理矢理引き離した。
そして、沢山の荷物が積んである大きな車に乗り込んだ。
「ぜったい…ぜったいもどってきてね!ずっとずっとまってるからっ!!」
女の子は泣きながら有りったけの声を響かせ、追い付けるはずもない車を必死に追いかけた。
やがて車が見えなくなっても、手を降り続ける女の子の背中は物凄く小さく見えた。
そう…あの日から私はずっとずっと夜流を…『大好きな夜流』を待ってたんだ。
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