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何かが転がっていた。
暗闇でよくわからないが、よく目を凝らすとその異様さがわかった。
ーそれは、大きな肉片だった。
首から無理矢理ひきちぎられた頭は、とにかくぐちゃぐちゃだった。
何度も何度も鈍器で殴られたのだろう。すでに原型を留めていない。
ぱっくりと割れた頭からは、何やら悩味噌のような物体が覗いている。
ーただひとつ、それが真姫とわかるのは、
自慢の黒髪をしばってある、花の髪止めがあったからだ。
変わり果てた彼女は、自分の周りに大きな血だまりを作っていく。
まるで意思があるみたいに、だんだんと彼の方へ近付いていく。
ー夢のようだった。
全く現実感がなかった。
目の前で繰り広げられていることを、受け入れることができなかった。
ーこれは真姫さんじゃない…
これは真姫さんじゃない…
何度も頭の中で呟く。
そして、彼は見た。
彼女の後ろに、大きなハンマーを持って立ち尽している、
不気味に笑う血だらけの少女の姿を。
そして、彼にゆっくりと微笑むのだ。
「…う…」
「うわぁああぁあぁあぁあぁ!!」
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