あたしと彼の時間

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商店街を歩いて変わったお店を探してみる。 それがあたしの楽しみの一つであり、気分を変えたいときにはぴったりな方法だった。 週に何日か来ているわけで、そうたいしていつもと変わっているわけではなかった。 暗くなって帰ろうと来た道を歩く。ふと、雑居ビルと店の間の狭い路地に目をやる。 「ん…?」 青いポリバケツに紛れて一人の若い男性が倒れているのが目に飛び込んできた。 「ま、まさか…」 酔い潰れ!? いや、ただ寝ているだけかも! ってこんなとこで普通寝るか!? 何かに引き寄せられるように、そーっと男性まで寄っていた。 顔は怪我だらけ、服は汚れが目立つ。 「うっ…酒くさっ」 おまけに本当に酔い潰れている。 顔をもっとよく見ようと覗き込もうとしたその時だった。 「!!」 男性に腕を掴まれた。 「…こか」 「え?」 「リョウ…コか?」 力が無く、輝きも無いくすんだ目だった。 でも、掴んでくる手の力が痛い程強く、何か、必死さを感じるものがあった。 手の力が抜けていき、するりと男性の手が落ちていく。 「…違っ、た」 男性は目を閉じ、気を失った。 どうしようもなく、放って置くことも出来ず、失礼と思いながらも所持品をポケットから出す。 ポケットから出てきた財布には免許証が入っていた。 それで男性が久保修介だと分かった。 そして、住所を辿って久保さんの家まで何とか連れてきた。 家に着いてからずっと寝っぱなし。 一晩明けてようやく起きたみたいだった。
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