第一章

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この学校、「黒耀学園」に来る事が出来たのは、前の学校……「緑川学院」で俺のクラスの担任だった"結城先生"の御蔭だ。 先生は喧嘩ばかりしていた俺にも、他の生徒と比べる事無く優しく親身になって接してくれていた。 生徒達にも人気で本当に良い先生だったと思う。 容姿に悪い所は見当たらないし、女子にもモテていたし……何より若くて。 だからこそ、話し易いと言うのもあったはずだ。 編入先の黒耀学園を紹介してくれたのも先生で、俺は本当に感謝している。 だが、素直に礼を言うのは何だか照れ臭くて、言えないまま現在に至る。 それにしても、これから喧嘩を止めようと言う人間にこんな学校を紹介してくるとは結構酷い事をするんだな。先生でも。 「おい、お前、」 突然正面から声がした。 声の主へと視線を向ければ、此方を向いていたから、多分先程の"お前"とは俺の事。 ……どうやら俺は考え事をしつつ、喧嘩をしている方へと足を運んでしまっていたらしい。 .
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