2411人が本棚に入れています
本棚に追加
予感は当たった―――
やっぱり辻村はこの学校を辞めてしまう・・・
急に目の前の景色の色がなくなった。
しかも、本日付・・・?
今日で辻村はいなくなってしまうの?
心の準備をする時間もないままに?
不安は的中した―――
そう思った。
私はゆっくりと現実から逃げるように目を閉じた。
『どういうこと?』
『しかも本日付って・・・急すぎだよ』
『何で?』
そんな疑問の声で体育館がざわざわする。
『静かにしなさい。辻村先生の一身上の都合です』
教頭の言葉で生徒たちの声は静まるどころか、火に油をそそいだかのようにざわざわ大きくなっていく。
辻村は壇上には上がらず、教師たちの並ぶ列で、まっすぐ前を見ている。
どうやら辻村は挨拶どころか、壇上にも上がらないらしい。
辻村のその態度に生徒たちの声も加熱する。
最初のコメントを投稿しよう!