◎辻村の決意

7/27
前へ
/751ページ
次へ
『どういうことだよ!』 『説明もないのかよ?今日付けで辞めるなんて無責任にもほどがあるだろ? せめて挨拶や説明くらいするのが筋じゃねーのかよ?』 『相川先生と結婚するから辞めるの?』 『でも相川先生と結婚するなら辞めるんじゃなく、異動になるんじゃないんですか?訳がわかりません。 説明して下さい』 『こうやって逃げるように辞めるのって、卑怯だと思います』 相川先生のファンの男子生徒たちからも次々と声が飛ぶ。 とうの相川先生は下を向いて、泣きそうな顔をしている。 辻村と何かあったって、誰が見てもわかる。 私は情けないことに頭が真っ白になって、倒れそうになった。 それを必死に里香が腕をつかんで、支えてくれていたんだ。 『し、静かにしなさい!』 壇上の教頭がどんどん広がる声にパニックを起こしかけていた。 教頭は半分怒鳴り声になっていたけど、それにかまわず体育館内にはブーイングが広がっていた。
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2411人が本棚に入れています
本棚に追加