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「そのうち俺はずっとそいつの側にいたいって思うようになってた。
そして今までに芽生えたことのない感情が芽生えたんだ。
そいつは見た目よりずっと強い女だけど、やっぱり時々ほろりと弱い。
そして強がるんだ。
無理してがんばりすぎる。
・・・守ってやりたいって思ったんだ。
久々に人を好きになるって気持ちが俺自身に芽生えた。
もしかしてそれ以上の感情かもしれないな・・・」
そう言って、辻村は一瞬だけ私の方をチラリと見た。
「だけど俺はバカだった。
そんな自分に芽生えた気持ちになかなか気づかなかった。
いや、気づかないふりをしていたのかもしれないな・・・俺は当初その気持ちを押し殺そうとしていたんだ。
打ち消さなければいけないと思ってた。
そんな時に、この学校に相川先生が来て、再会したんだ」
体育館中にいたほぼ全員が相川先生に注目した。
だけど相川先生はポーカーフェイスを崩さず、腕を組んでまっすぐ辻村を見ていた。
「相川先生がこの学校に来て、正直すごく驚いた。しかも彼女は俺とヨリを戻して、結婚までしたいって言う。
夢のような話だと思った。
だけどそれはそいつと出会う前だったらの話だった。
そいつと出会う前だったら飛び上がるほど嬉しい話だtっただろうな。
俺はそいつと出会う前は、相川先生と再びやりなおすことが夢だったんだ。
相川先生を忘れられなかったから」
ふと相川先生の顔をみると、かすかに唇が震えていた。
がんばっていたポーカーフェイスも崩れてしまいそうになっている。
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