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辻村が両手に紙袋を抱えて、校庭に出てくるのが見えた。
ゆっくりと校庭をつっきるように、辻村は正門に向かって歩いていく。
校庭には誰もいない。
見えるのは辻村の背中だけだ。
2階から見る辻村の背中―――
すごくすごく大きく見えたはずの背中が、今は何だか小さく見えるよ。
それは2階から見たからだけのせいじゃない。
絶対に。
辻村の背中がどんどん遠くなっていく。
辻村は去ってしまう。
もう会えない―――
たぶん、そう。
辻村はたぶん一人でどこかに去ってしまう。
私に行き先も告げずに、連絡も取れないようになって、どこかに行ってしまうだろう。
そんな気がするんだ―――
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