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「篠原さんっていつも一人でいて、誰ともつるんでなかったじゃん?
正直人見知りで弱い変な奴だって今まで思ってた。
だけどよく考えてみると、一人で群れないでいられる奴って強い奴なんだよね。
あんた、ときには私に食ってかかってきたし、そのうちコイツ何か内に強さを秘めてるかもって思い始めた」
間宮さんはそして里香の方をチラリと見た。
「私とつるんでた時は弱くて、人の顔色ばかりうかがっていた里香だって、あんたといつも一緒にいるようになって、何だか強くなった。
あんたをかばって守っているから強くなってるとも思うけど、それだけじゃない。
生き生きしてる感じもするんだ」
―――正直とても驚いた。
間宮さんがこんなふうに私のことを思っていたなんて。
ちょっとかいかぶりすぎだとも思ったけれど。
間宮さんはちょっと苦しそうに顔をゆがませた。
「さっき辻村の本性を見て、すごくびっくりしたし、正直ショックだった。
だって私の好きだった辻村先生は穏やかで紳士的で優しい大人の男性だったから。
反対に私はそんな大人な辻村先生だったから好きになったんだと思う。
たぶん他の辻村を好きな女子生徒たちだってそうだと思う。
辻村の表の顔だけ見て、好きになったんだよ。
でもさ、篠原さん、あんたは違うんだろう?」
間宮さんはそう言って、まっすぐに私を見た。
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